「御所の桜」といえば、「源氏物語」が思い浮かびますね。
光源氏が紫宸殿前で華麗な舞を披露したとき、文字通り花を添えたのが堂前の「左近の桜」。御所の内部に入り、紫宸殿や清涼殿など物語の舞台を想わせるたたずまいを間近で見ることができる一般公開は、「左近の桜」の開花期に合わせて行われます。通常は申し込み制のところを、この期間だけは自由に入場可能。王朝文学の愛好家にとっては格好の機会といえます。
その御所を取り巻く自然公園が「京都御苑」。市民の憩いの場として親しまれる一大エリアは豊かな植物の宝庫でもあり、苑内には約1100本の桜が点在します。
満開のサクラのもと、ピクニック気分でお弁当を広げて…もちろんそんなお花見も楽しいものですが、京都御苑でしか見ることができない由緒ある名楼をピンポイントで訪ねてみる、というのはいかがでしょう。
3月下旬から優美な花姿を見せるのは、烏丸中立売通りに面する中立売御門近くの「御車返し(みくるまがえし)」。江戸初期の天皇で修学院離宮を造営した後水尾天皇がその美しさに車を引き返させたという八重のサトザクラです。
北西部、公家の名門、五摂家に数えられる近衛家の邸宅があったあたりでは、艶麗なシダレザクラの群れが3月末からおよそ一カ月の間、咲き競います。
なかでも見ものなのが、孝明天皇が「昔より名には聞けども今日見れば むべめかれせぬ 糸さくらかな」と詠まれたイトザクラ。江戸末期にすでに名をとどろかせていたという名桜は、満開が予想される4月上旬に訪ねましょう。
都の歴史とともに年輪を重ねてきた名高い桜の花々を、じっくり鑑賞する、京都御所・御苑ではそんなお花見がステキに思えます。
■新島の旧邸(大河ドラマ八重の桜)
主人公の家が京都御苑の隣にあります。
京都御所 一般公開
2016年4月6日~4月10日
9時~15時30分まで
申し込み不要。入場無料
宜秋門(ぎしゅうもん)から入場し,清所門(せいしょもん)から退出
京都御苑 開園時間
24時間開放(京都御所を除く)
京都御苑は、公園なので24時間いつでも無料で入場できます。
ただし京都御所(江戸時代まで天皇陛下が住んでいた皇居)は一般公開の時期以外は、事前に宮内庁へ申し込みが必要です。それ以外のほとんどの敷地では普通に入ることができます。
入場料金
無料
京都御苑アクセス
地下鉄今出川駅から徒歩すぐ
(地下鉄京都駅から9分 250円)
地下鉄丸太町駅から徒歩数分
(地下鉄京都駅から6分 250円)
京都御苑の桜の本数の順位は