目次
祇園祭 山鉾の装飾
見どころ多い祇園祭のなかでも、
やはり最大のものといえば山鉾を飾る絢爛豪華な懸装品でしょう。
前掛(まえかけ)・胴掛(どうかけ)・後掛(うしろかけ)・水引(みずひき)・見送(みおくり)などと
呼ばれる染織品で、いずれも染織の粋を凝らした古今東西の作品。
そうした懸装品を飾り付けられた鉾や山が、
7月17日に都大路を巡行、
その華麗な様子はいつしか『動く美術館』と呼ばれるようになりました。
[ad#ad]
山鉾巡航の由来
山鉾巡行は平安時代から始まったとされ、
美しい染織品を飾り付けたのは室町時代からとのこと。
それらの多くは海外からの渡来品で、
中国・中近東・東欧・インドと世界各国からやってきたもの。
異国情緒ゆたかな美しさにあふれた染織品は、
いつの世も京の人々の目を奪い、
見物客を魅了してきました。
中にはシルクロードを経て運ばれてきたタペストリーや
15世紀のベルギー製絨毯といった、
文化史上に貴重なものも数多く見られます。
日本製のものでは、やはり西陣織。
綴織りや綾錦、金襴・唐織といった高度な技術で、
尾形光琳や円山応挙など高名な日本画家の原画を織り上げた作品などが
32基の山鉾それぞれに伝わります。
鯉あり駱駝ありフクロウあり、
美人画もあれば絵巻物も…といった題材や絵柄の多彩さも見どころ。
その年に復元されたり新調されたりした懸想品はニュースなどで報道されるので、
山鉾名を事前にチェックしておいて巡行見物の折りには
見逃さないようにしたいものです。
「染織の素晴らしさをもっと近くで」という人には、
烏丸御池近くの京都文化博物館がお勧め。
年間を通して懸装品など祇園祭関連の展示が行われています。