現在の天皇陛下が2019年4月30日に退位し、皇太子さまが5月1日に新天皇に即位される日程が決まりましたね。
旧皇室典範(明治22年制定)では第11条で、即位の礼と大嘗祭(だいじょうさい)は「京都で行う」と規定されていますが、現在の憲法では、開催場所についての定めはありません
大正天皇と昭和天皇の即位の礼と大嘗祭は、ともに京都で行われましたが、1990(平成2)年の平成の即位の礼と大嘗祭は東京で行われました。
この大嘗祭に欠かせないのが高御座(たかみくら)ですが、平成の即位の礼では厳戒体制の中、自衛隊の大型ヘリで東京に移送されました。
宮内庁では今回の即位の礼も、高御座を解体して夏にも皇居に陸路で移送して、修復作業を行う予定にしているそうです。
高御座とは
高御座は天皇が即位の儀式で使う玉座。儀式のときのみ天皇が上がり、高い位置から即位を宣言する高御座は、戦前まで「現人神(あらひとがみ)」を象徴するものとされました。
少なくとも奈良時代から用いられていた高御座ですが、平城京では大極殿に、平安京では大内裏の大極殿、豊楽殿、その後内裏の紫宸殿に安置されていました。
即位や朝賀、外国使節の謁見などの大事な儀式のときに、天皇が着座しました。
鎌倉時代中期以降は、京都御所の紫宸殿(ししんでん)へと移され、現在も紫宸殿に置かれています。
紫宸殿は入母屋桧皮葺の高床式宮殿建築。即位式などの重要な儀式を執り行う最も格式の高い正殿とされています。
建物の中央には天皇の御座「高御座」、その東に皇后の御座「御帳台(みちょうだい)」が並んでいます。
高御座は、黒漆塗りの四角い壇の上に、大小の鳳凰(ほうおう)や、鏡などで飾った八角形の屋形が付いています。
高さは6メートル、重さは約8トン。伝統工芸の技を駆使した豪華な造りです。
現在のものは大正4(1915)年、大正天皇の即位に合わせて古式に則って作られました。
玉座が椅子に代わり、新たに皇后の御帳台が併置されました。くぎは用いられず、木のかんぬきでつなぐ組立て式になっています。
紫宸殿
通常は京都御所の紫宸殿に安置されており、誰でも無料で見ることができます。
これまで御所の参観は、春秋の特別公開と、事前の予約が必要でしたが、2016年7月26日から一年を通して、申込不要での公開となりました。
職員による日本語、英語及び中国語の案内も行われています。儀式の前後約1年間は見られなくなる高御座、皆さんも早めに実物を見学して、即位の礼を身近に感じてみてはいかがでしょうか。