左京区岡崎、疏水の流れを重たげな桜の花がふちどり、
あたりに春の気がたちこめる頃、
朱色の社殿が白砂に映える平安神宮内の神苑では、
紅しだれがたおやかな姿で微風にそよぎます。
谷崎潤一郎の小説「細雪」に登場する桜がこの紅しだれ。
市川崑監督の映画でも四姉妹の艶やかなきもの姿と
妍(けん)を競うような花景色が印象的でした。
平安神宮の由来
明治28年(1895)、平安遷都1100年を記念して創建された平安神宮は、
桓武天皇と孝明天皇を祭神とする京都市民の氏神さま。
社殿は平安京の大内裏にあたる朝堂院の建物を
およそ3分の2に縮小したもので、
正月の初詣、節分行事の見物、
秋の時代祭と一年を通じて市民や観光客に親しまれています。
四季折々の花に彩られる四つの神苑も、
多くの人に愛好される散策の場所。
『細雪』には
「門をくぐった彼女たちは、たちまち夕空にひろがっている紅の雲を仰ぎ見ると、
皆が一様に「あー」と、感歎の声を放った。…」と、
南神苑の紅しだれ桜の美しさが描かれています。
しだれ桜は、京都府の花でもあり、
いわば古都京都のシンボル。
最も京都を感じさせる桜が、
この平安神宮の紅しだれかもしれません。開
花期は4月上旬とやや遅く、見ごろが一週間ほど続くのが特長です。
神苑出口では、桜の期間限定でピンク色の「桜(はな)みくじ」が
発売中。運勢も「つぼみふくらむ」「咲初む(さきそむ)
」「三分咲き」「五分咲き」「八分咲き」「満開」と、
サクラにちなんだ風雅なことばで表現されています。
近くの木には幸運を願って
ピンク色のおみくじが次々に結ばれ、
こちらにも花が咲いていくようです。
参拝時間
6時開門
閉門は季節により17時~18時と変わります。
入場料金
参拝無料
神苑拝観料
大人600円
子供300円
アクセス
JR京都駅から:京都市バス100系統に乗車。
京都会館美術館前 バス停下車(約23分。220円)
バス停下車すぐ
または京都市バス5系統に乗車(約31分。220円)
阪急河原町駅から:京都市バス5系統に四条河原町 バス停で乗車。京都会館美術館前 バス停下車(約13分。220円)
地下鉄京都駅から:烏丸線に乗車。烏丸御池(5分)で乗り換え。烏丸御池から東山駅で下車(4分)(合計250円)
徒歩10分
駐車場
市営岡崎公園地下駐車場
(500台・普通車1時間500円)